どうも、
TKA Labです。
今回は、
膝関節術後に神経筋電気刺激(NMES)を用いる際の、
強さや治療時間の設定についてです。
人工膝関節置換術(TKA)だけでなく、
全ての膝手術を前提としていますので、
前十字靭帯(ACL)の断裂、半月板の損傷の術後の方にも応用可能です。
そもそもなぜNMESを用いるかというと、
術後の大腿四頭筋強度と歩行や機能的パフォーマンスが関連していることが多数報告されており、
さらに、
術側と非術側の大腿四頭筋力の非対称性は数年継続すると言われています。
そのため、
大腿四頭筋の早急な改善は、
歩行能力や機能的パフォーマンスの改善につながるのです。
では、
NMESを行うことが推奨されている条件について、
①電極の大きさ
②周波数
③パルス幅
④デューティサイクル比
⑤姿位
⑥開始時期
⑦使用時間
①〜⑦を見ていきましょう。
①電極の大きさ
これは40cm2以上が推奨されています。
なぜ、40cm2以上かというと、
患者さんのの快適レベルまたは二相電流を供給するためでに、
この大きさが推奨されます。
小さい電極にしてしまうと、
電流密度が上昇するため、
患者さんの不快感につながります。
②周波数(1秒間に刺激を与える回数)
周波数は、筋疲労を最小限にし、
快適に筋力の収縮を促すために約50Hzが推奨されています。
③パルス幅(刺激の1回あたりの時間)
大腿四頭筋の筋収縮を促進するために、
パルス幅は長い方が好ましく、
250μsから1msが推奨されています。
しかし、
患者さんの快適さにより調整が必要です。
④デューティサイクル比
適用されるオフ付時間が短いほど、
筋疲労しやすくなります(当然ですが)。
多くの報告では、
1:2もしくは1:3としていますが、
特定のデューティサイクル比の効果は報告されていません。
⑤姿位
効果的と言われている姿位は膝関節屈曲0度から60度です。
特に膝関節屈曲60度は、
最大膝伸展トルクを生じることができる姿位のため、
この角度が推奨されます。
術後なので、
屈曲60度を取ることが難しければ、
伸展0度でもOKです。
⑥開始時期
NMESに関する多くの報告では、
手術後最初の2週間を推奨しています。
なぜ、術後2週間を推奨するかというと、
手術直後からの筋収縮が少ない状態は、
皮質レベルにおいて、
神経形成の変化が生じ、
筋収縮を引き起こす能力が低下するからです。
そのため、
できるだけ早期にNMESを用いることを推奨します。
⑦使用頻度
使用頻度に関して
15-40分/回、1-3回/日にて効果的という報告はありますが、
明確なコンセンサスは未だありません。
まとめると、
大きな電極(≥40cm2)を利用し、
50 Hz以上の周波数で、
パルス幅は長くし(250μsから1 ms)、
1:2〜1:3のデューティサイクル比、
姿位はできれば屈曲60度(伸展でも可)、
術後最初の2週の間に、
15-40分/回、1-3回/日の頻度で行うとよい。
と、いうところでしょうか。
手術後に大腿四頭筋力を回復することは、
リハビリテーション中の最も重要な目標です。
大腿四頭筋が弱いままだと、
関節の負荷を増加させ、
変形性関節症に移行する可能性があります。
術後のスムーズな機能の獲得、
変形性膝関節症の予防も含め、
NMESを有効に活用していきましょう。
本日は以上です。