人工膝関節再置換後の膝関節伸展筋力

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人工膝関節置換術は年々増加しており、手術される方の平均年齢は低下してきています。

今後、

平均寿命が延びることも踏まえると、

人工膝関節の再置換が必要な方が今後増加する可能性があります。

 

 

人工膝関節置換術の再置換は

感染、人工関節のゆるみ、

靭帯の不安定性、拘縮、

人工関節周囲の骨折、膝関節の脱臼など

さまざまな理由で行われます。

 

人工膝関節置換術の再置換の際、

特に拘縮や強直を伴った再置換では、

より広範な切開が必要と言われています。

広範な切開を行うには、

大腿四頭筋形成術(QP)、

大腿骨の皮膚の切開、

大腿四頭筋の切開(QS)、

脛骨粗面骨きり術(TTO)を用いることがあります。

 

当然、

大腿四頭筋形成術や大腿四頭筋の切開は大腿四頭筋への侵襲が増えることから、

膝の伸展筋力が低下すると言われています。

 

今回は、

人工膝関節再置換時のQPとQS後の大腿四頭筋力・ハムストリングスを比較したお話です。

 

 

対象はQPが55例(QP群)、QS(QS群)が37例でした。

大腿四頭筋筋力はハンドヘルドダイナモメーターを用い、

最終フォローアップ時(術後12〜108ヶ月)に測定しました。

 

 

結果です。

 

QP群,QS群両群の性別や年齢、屈曲拘縮については有意差を認めませんでした。

膝のROMも両群において有意差を認めませんでした。

 

 

リハビリのプロトコルは

QPグループでは、部分荷重が術後4週間後からであり、

QS群は術後1日目から荷重下でのROMexを行ないました。

両群における荷重開始時期に有意差を認めました。

 

大腿四頭筋力は

QPの伸展筋力は11.4kg、QSは11.7kgで有意差を認めませんでした

ハムストリングスでも同様に、有意差を認めませんでした

 

 

 

QPやQSはTTOと同時に用いられることも多く、

また、QPよりもQSの方が術後の成績が良いという報告が多いようです。

今回はQPとQSにおいて有意差を認めず過去の報告と結果が異なったのですが、

その理由の一つとして

過去の報告ではQPの適応が最終手段(QS等他の方法が困難のためやむなくQPをした)として

用いられたからではないかと筆者は考えていました。

 

今回の結果では、

大腿四頭筋力(ハムストリングスも)においてQPもQSも差がないため

どちらも有効な方法ですが、

荷重開始時期がQPの方が遅いことがリハビリにおいて問題となる可能性があります。

 

 

いかがでしたか。

臨床では、

多くの方が初回のTKA症例ですが、

再置換のTKA症例を担当することは少なからずあると思いますし、

今後増加していく可能性が十分あります。

今回の結果は。

頭の片隅においていて、

いざ再置換症例を担当する際には、

ぜひ活用してください。

 

近いうちに

「再置換」の話だけをまとめたTKA Labのセミナーも

検討していこうと考えています。

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  NMESとTENSの強度や頻度は?
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