人工膝関節置換術後のCPMの効果は?

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TKA後のリハビリの一つとしてCPM(Continuous Passive Motion)が用いられます。

CPMの効果は、

滑液の循環および関節周囲の線維性瘢痕を予防し、

関節可動域制限を生じさせないようにすると言われています。

しかし、

近年はCPMの使用に対して否定的な意見が多い傾向にあります。

実際のところCPMの効果はあるのでしょうか。

 

 

CPMに関する、

当初の研究結果は、

短期間の使用において、

ROMの改善が顕著であることや創傷の治癒が促進されると言われていました。

また、

CPMはTKA直後に開始されることが一番望ましいと言われていました。

 

しかし、

最近の研究では、

TKA後のCPMにはなにもメリットがないと言われています。

 

 

このように、

過去の研究と近年の研究の結果において

相反するエビデンスとなっているのは何故なのでしょうか。

 

 

過去の研究と、

近年の研究が相反する形となったことは、

研究の対象者において大きな違いが見られました。

 

 

CPMが膝関節に対して効果的だと述べている過去の研究の対象者は、

膝関節が拘縮している方でした。

一方、

CPMの効果に否定的な研究者の対象は、CPMだけではなく標準的な理学療法も受けられた方でした。

 

なぜ、このような違いが生じたかというと、

 

CPMの研究が開始された当初は、

TKA後のリハビリは、

積極的な運動をするのではなく、

「安静にして固定することが一番のリハビリ」

とされていたからです。

そのため、研究の対象者は膝関節に拘縮が生じていた方々でした。

 

一方、

最近の文献では、

TKA後に標準的な理学療法を行なった対象者にCPMを実施し比較しています。

そのため、

CPMを用いてもTKA後のROMに対して有意差を認めなくなりました。

 

ここからが少しややこしいのですが、

膝関節を固定するよりも積極的に動かすことが効果的であることが判明したので、

「膝を動かすこと」=「CPM」+「理学療法」

と考えられてしまい、

TKA後のリハビリに理学療法とCPMがセットになってしまったようです。

 

 

CPM論争を沈めるために、

研究の対象者の違いによる影響を加味して

比較した文献でも

やはり、

CPMの効果は認められなかったと述べていました。

この研究の著者は、

「TKA後に標準的な理学療法を行なっている患者に対するCPMの効果はほとんどなく、必要のない医療資源の過剰使用である」

と、述べていました。

 

 

 

いかがでしたか?

 

 

以前から、

TKA後のCPMの仕様に関しては賛否両論がありましたが、

これで決着した感があります。

 

確かに、

一昔前はTKA後あまり積極的なリハビリをしていませんでした。

荷重も術後1週で1/4pwbとして1週毎に増やすような処方箋でした。

時代とともに医学も少しずつ変化していくことを感じたテーマでした。

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  TKA後のアライメントと術後1年の身体機能
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