- 2019-4-26
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こんばんは。TKA Labです。
人工膝関節全置換術(TKA)後は多くの患者の疼痛が改善しますが、
術後3ヶ月において10%〜34%の患者では中等度〜重度の持続性術後疼痛(Persistent postoperative pain:PPP)を有していると言われています。
PPPはQOLの阻害因子となり、
TKA後の患者満足度を低下させる要因と言われています。
また、PPPを有してる症例の中には、
再置換術が行われる症例も少なくありません。
このようなPPPの原因ですが、
様々な因子がPPPに影響を及ぼし、
患者と治療の双方の要因が関係していると言われています。
そこで、
今日は、「TKA後の痛みは予測できるのか!?」ということで、
TKA後6,12ヶ月後のPPPの予測因子のお話です。
対象は、300名のTKA症例です(全例膝蓋骨置換)
評価項目は、
術前および術後6,12ヶ月において
心理学的要因、神経生理学的要因、遺伝的要因、外科的要因、疼痛、能力障害、神経障害を測定し、
どの要因がPPPの予測因子となるかを調査しました。
結果としてPPPにの予測因子となりうるものは、
術後6ヶ月では、
①術前の疼痛強度
②術前の不安強度
③予想される疼痛強度
(「手術後6ヵ月後に経験すると思われる疼痛のレベルを示してください」という質問を用いて10段階で測定された。)
④シナプスの時間的荷重
でした。
術後12ヶ月では、
①術前の疼痛強度
②術前の不安強度
③予想される疼痛強度
でした。
以上の結果となりました。
今回、
6,12ヶ月のPPPの予測因子の一つとして、術前の疼痛強度が当てはまりました。
鎮痛薬や体重の管理・適度な運動療法によって手術する時期を延ばすことは可能ですが、
疼痛強度は基本的に関節炎の進行と比例します。
このことから、
変形性膝関節症(膝OA)を発症してから長期間経過した後にTKAを実施することは、
OAの進行とともに疼痛強度が増します。
そのため、PPPリスクを増加させる危険性があります。
(膝OAの発症から長期間経過するとTKA後の成績がよくないという論文もあります。この論文についてはいずれ報告します。)
また、
術前の不安強度や予想される疼痛強度もPPPの予測因子として当てはまりました。
悲観的な症例は、
TKA後に中等度から重度のPPPを発症する可能性が2倍以上という報告があることから、
PPPはメンタル的な要素からも影響を受けることがわかってきています。
このような結果をみると
我々理学療法士として対応できることは、
術前リハビリによって術前の疼痛を減少させることかなと思います。
また、シナプスの時間的荷重の増加に関しては物理療法で何かできる?かなと思いますが、
こちらは今後調査していきたいと思います。
本日は以上です。