- 2018-6-8
- 筋力
おはようございます。
TKA Labです。
本日は、neuro-motor synergyのお話です。
人工膝関節置換術(TKA)の手術が成功したにも関わらず、
膝の機能の低下を訴える患者さんは、
TKAを受けた方の約20%を占めると言われています。
このような患者さんの膝関節のバイオメカニクスを調査しても、
正常なバイオメカニクス大きく変わりがありません。
では、膝の機能が低下していると感じる原因は。。。
膝機能が低下していると感じる原因のひとつとして、
neuro-motor synergyが言われています。
今回のお話は、
1)膝機能が高いTKA患者は、低い膝機能のTKA患者より、より複雑なneuro-motor synergyを回複する、
2)高い膝機能のTKA後患者は、neuro-motor synergyにおいて順応性のある歩行時のストライドが可能、
という仮説を立てて、
TKA後の膝機能とneuro-motor synergyについて検証したお話です。
方法は、
対象を
ⅰ)高機能群(n=13)、
ⅱ)低機能群(n=13)、
ⅲ)コントロール群(n=18)
の3つの群にわけ、歩行とEMGを測定しました。
neuro-motor synergyに関して、
non-negative matrix factorizationを用い、
EMGのデータから抽出しました。
※non-negative matrix factorization:非負値行列因子分解:元の行列がもつ潜在的要素を明確に示すことができるそうです。詳しくは他のサイトを参考にして下さいm(_ _)m)
統計は、
各群の歩行とneuro-motor synergyの関係に対して
分散分析とスピアマンの相関分析を用いました。
結果です。
neuro-motor synergyのパターンが3つのグループにおいて異なりました。
コントロール群は、
5-6の独立した神経系統が歩行の際に遂行されました。
高機能群では4-5、
低機能群では2-3の独立した神経系統が歩行の際に遂行されました。
さらに、
ストライド時における筋の反応のパターンの順応性は、
コントロール・高機能群と比較すると低機能群では15% 減少しているという結果となりました。
いかがでしたか。
TKA後の大腿四頭筋の筋力の回復が1年経過しても達成されないという報告が以前からされています。
今回の話を聞くと、
TKA後の大腿四頭筋の回復に関して筋張力だけをみるのではなく、
neuro-motor synergyなど神経生理学的側面からも
TKA後の筋力増強運動、理学療法を考えていく必要があることを再認識させられました。
本日は以上です。