人工膝関節置換術後の膝機能低下の原因は?

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おはようございます。

TKA Labです。

 

本日は、neuro-motor synergyのお話です。

 

人工膝関節置換術(TKA)の手術が成功したにも関わらず、

膝の機能の低下を訴える患者さんは、

TKAを受けた方の約20%を占めると言われています。

このような患者さんの膝関節のバイオメカニクスを調査しても、

正常なバイオメカニクス大きく変わりがありません。

 

では、膝の機能が低下していると感じる原因は。。。

 

膝機能が低下していると感じる原因のひとつとして、

neuro-motor synergyが言われています。

 

今回のお話は、

1)膝機能が高いTKA患者は、低い膝機能のTKA患者より、より複雑なneuro-motor synergyを回複する、

2)高い膝機能のTKA後患者は、neuro-motor synergyにおいて順応性のある歩行時のストライドが可能、

という仮説を立てて、

TKA後の膝機能とneuro-motor synergyについて検証したお話です。

 

 

方法は、

対象を

ⅰ)高機能群(n=13)、

ⅱ)低機能群(n=13)、

ⅲ)コントロール群(n=18)

の3つの群にわけ、歩行とEMGを測定しました。

neuro-motor synergyに関して、

non-negative matrix factorizationを用い、

EMGのデータから抽出しました。

※non-negative matrix factorization:非負値行列因子分解:元の行列がもつ潜在的要素を明確に示すことができるそうです。詳しくは他のサイトを参考にして下さいm(_ _)m)

 

統計は、

各群の歩行とneuro-motor synergyの関係に対して

分散分析とスピアマンの相関分析を用いました。

 

 

結果です。

 

 

neuro-motor synergyのパターンが3つのグループにおいて異なりました。

コントロール群は、

5-6の独立した神経系統が歩行の際に遂行されました。

高機能群では4-5、

低機能群では2-3の独立した神経系統が歩行の際に遂行されました。

さらに、

ストライド時における筋の反応のパターンの順応性は、

コントロール・高機能群と比較すると低機能群では15% 減少しているという結果となりました。

 

 

いかがでしたか。

 

TKA後の大腿四頭筋の筋力の回復が1年経過しても達成されないという報告が以前からされています。

今回の話を聞くと、

TKA後の大腿四頭筋の回復に関して筋張力だけをみるのではなく、

neuro-motor synergyなど神経生理学的側面からも

TKA後の筋力増強運動、理学療法を考えていく必要があることを再認識させられました。

 

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  TKA前の大腿四頭筋力の低下は、TKA後の異常歩行を予測できるのか。。
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