こんばんは。
TKA Labです。
今回も
TKA Labサロンの活動『世界のTKAを知ろう!』
からお送りします。
今回までで、
サロンに参加されてる方は、英語文献を4本読んだことになります。
日本の論文を1本/月読むこともない中、
4ヶ月連続で毎月1本読まれていることはすごいことだと思います。
しかも雑誌に掲載されて2年以内の内容!
サロンに参加されている方は、
ぜひ、継続していってください。
ちょっとでも興味がある方は、
ぜひ1回サロンに参加して、トライしてみてください。
少しでも「英語読もうかな。。。」
と、
思った時が読み時です^^
一人で読むより誰かと読んだ方が「読まなきゃ!」
ってなりますので^^
では、
今回のお話です。
一般に術前の関節可動域(ROM)は術後のROMに影響を及ぼすと言われています。
そのため、
術前に拘縮の強い患者は、
術後のROMがあまり改善されないと予測できます。
ただ、
術前のROM制限が大きいということは、
術後に改善する余地が多くあるという考え方もできます。
したがって、
術前に拘縮が重度な症例の術後ROM、
特にROM増加の程度はどのようになっているのでしょうか。
また、
ROM制限の原因はいくつかありますが、
変形性膝関節症(OA)による機械的な負荷による制限因子は
手術によって改善されます。
しかし、
過去に感染または外傷があり、
それによって引き起こされた軟部組織を含む癒着は、
修復することが難しいと言われています。
今回は、
TKA後のROMの改善および
原疾患によるROM改善の違いについてのお話です。
対象は人工膝関節置換術を行った122名です。
(男性29膝女性93膝、平均年齢64.3歳、平均BMIは27.1)
「拘縮」の定義は90度以下とし、
平均の術前ROMは78度(25-90度)でした。
ROM 制限の理由は、
OAが80膝(66%)、
RAが12膝(10%)、
感染性関節炎が25膝(20%)、
外傷性関節炎が5膝(4%)
でした。
術後のリハビリのプロトコルは
CPMは術後2日目まで、
大腿四頭筋エクササイズを積極的に行いました。
歩行器歩行は術後2日目に許可し、
入院中は毎日20minのリハビリを行いました。
自主トレーニングとしてアイシング、
腫脹のコントロール、
歩行、
ROMの指導を行いました。
術前、術後6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月にROMを測定し、
術前ROM50度以下を重度拘縮群
術前ROM50-90度を軽度拘縮群としました。
結果です。
重度拘縮群は術後33%が拘縮を再発(屈曲ROMが90度以下)し、
軽度拘縮群は1%でした。
重度拘縮群の合併症は33%に見られ、
軽度拘縮群は13%でした。
重度拘縮群は軽度拘縮群よりROM増加量が優れていましたが、
最終的な屈曲角度は軽度拘縮群が有意に改善していました。
術前外傷や感染性関節炎の症例と比較すると
OAとRAは術後のROMが良好な成績でした。
OAとRAの平均ROMは110度であり、
外傷と感性性関節炎の症例は13%しか110度に達成しませんでした。
したがって、
術前のROMと可動域制限となった疾患は、
術後のROMに有意に影響を及ぼすことが判明しました。
今回の結果から、
術前屈曲角度が50度に満たない症例や
術前に外傷を経験している症例、
感染性関節炎の症例を担当する際には、
術後ROMの改善が乏しくなることを考慮しながら
リハビリを進めていく必要があります。
また、
術前屈曲角度が50度に満たない症例を担当する際には、
感染症などの合併症が起きやすいことを考慮する必要があります。
術後に感染症が生じると、
リハビリの遅延や安静期間の長期化によりさらにROMが改善しにくくなるため、
通常のリハビリプログラム以外に、
感染が生じた際のリハビリプログラムを
バックアップとして用意しておくことも大事だと思います。
今回の結果から、
外傷の既往や感染性関節炎の症例に対しては、
予測できるROMを医師と確認し、
術後に十分なROMの獲得を望めないことを
きちんと患者に説明することも
Informed consentの一つだと考えられます。
本日は以上です。