ターニケット圧は高い方がいい?低い方がいい?

スポンサーリンク

 

 

ターニケット(駆血帯)は良好な視野の確保、

手術時間の短縮、

術中の出血量の減少、

セメント固定のための準備としてTKAの手術に用いられます。

 

ターニケット圧は、

安全とバランスの効果的の両立が求められます。

そのため、

高いターニケット圧は、

確実なターニケットの機能を果たしますが、

それによる弊害も生じ、

ターニケットの持続時間と圧の両方が関係します。

 

一方、

低いターニケット圧は安全ですが、

術野が出血で見にくくなります。

そのため、

整形外科の手術において最適なターニケットの圧は未だ定まっていません。

 

手術における

ターニケット圧の決定は、

全ての患者に均一なターニケット圧を好まれる医師もいれば、

患者の収縮期血圧(SBP)に基づいて変える医師もいらっしゃいます。

 

過去には、

ターニケット圧をSBP+100mgと設定して調査した報告があります。

それによると、

術中に急激に収縮期血圧が上昇し、

出血をした報告が17%存在したと報告されています。

 

果たして、

ターニケット圧はどのくらいの圧が、

TKAには最適なのでしょうか。

 

そこで、

今回は、

低いターニケット圧をSBP+120mmHgと設定し、

このターニケット圧が術野の確保ができ、

出血量を減らし、

その他の問題が生じるかどうかを調査したお話です。

 

 

 

 

ターニケット圧の違いによって2群に分けました。

1)低いターニアケット圧群(LTP):SBP+120mmHg

2)高いターニケット圧群(HTP):SBP+150mmHg

 

それぞれ群の対象者数は80例です。

 

手術時には脊椎麻酔を用い、

術後には大腿神経ブロックを用いました。

 

下肢への荷重は術後2日目から開始し、段階的に増加しました。

片側TKAの症例は、

術後7日にて退院、

両側TKAは術後14日にて退院しました。

 

評価は、

術後7日以内に行ないました。

 

ヘモグロビン値の低下を術後2,5日、総出血量も測定しました。

太ももの疼痛と膝の疼痛を計測、太ももの障害、他のターニケット使用による障害も記録しました。

疼痛は術後2日目測定し、

VASを用いて疼痛部位を評価しました。

 

太ももの障害は、術後7日に評価し、

リハビリの遅延とみなす評価足して、

SLRを用いました。

 

 

 

結果です。

 

術中のターニケット圧は、

LTP群233.9mmHg、HT群255.0mmHgであり、有意差を認めました。

 

ターニケットの使用時間、手術時間、最大の術中のSBPに有意差を認めませんでした。

 

LTP群において1名のみ術中に出血したため30mmHg圧を増加させました。

 

ヘモグロビン値の低下は2,5日ともに有意差を認めませんでした。

 

どのパラメーターも有意差を認めませんでした。

 

VAS、Likert scaleも有意差を認めませんでした。

 

リハビリの遅延(SLRの角度)も有意差を認めませんでした。

 

 

 

 

理学療法士はターニケットを直接使用しません。

しかし、

ターニケットの使用により、

大腿の体積や筋組織の量が変化するという報告もあります。

また、

今回の報告では疼痛への影響はありませんでしたが、

ターニケット圧の違いにより術後の疼痛に影響を及ぼすという報告もあります。

 

術後のリハビリを進めていく上で、

ターニケットの使用の有無と

ターニケット圧の確認をしておくことは必要と考えられます。

 

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  人工膝関節置換術前後の転倒恐怖感〜転倒の予測因子は?〜
スポンサーリンク

関連記事

LINE@登録はこちら

友だち追加

TKA Lab e-ラーニング

TKAに関わる理学療法士から好評いただいているTKA Lab e-ラーニングはこちら。↓クリック

広告

ページ上部へ戻る