変形性膝関節症の治療をするにあたり、痛みの減少や変形をこれ以上進行させないために、正常膝と変形性膝関節症のキネマティクスを知っておく必要があります。
正常膝のkinematicsは、いわゆる”転がりと滑り”ですが、これは転がりと滑りに見えるだけで、実際には内側を中心に回旋に近い動き(medial pivot)が生じています。
一方、OAのkinematicsですが、スクワット動作(しゃがみ動作)では内側を中心に正常膝と逆の動きをするようです。
1.なぜ、OAのkinematicsは外旋するのか
OAのスクワット動作(しゃがみ動作)でなぜ脛骨が外旋するかというと、大腿二頭筋の過剰な収縮やACLの変性等が原因と言われています。しかし、本当のところは原因がはっきりしません。
2.kinematicsをリハビリに生かす
では、このようなkinematicsをどのようにリハビリに生かすかというと、まず、正常膝ではスクワット動作時に脛骨が内旋してきます。この動作を再現させるためには、外旋に作用している大腿二頭筋の筋スパズムや防御性収縮を抑制し、膝関節屈曲にて脛骨が内旋をするような環境を作ってあげましょう。
方法は、ストレッチでも構いませんし、マッサージでもいいと思います。とにかく、大腿二頭筋の筋スパズムや防御性収縮を抑制する方法を検討しましょう。
3.まとめ
今回のOAのkinematicsを知る以前に、大腿二頭筋や大腿筋膜張筋の伸張性が低下した状態では、膝関節屈曲制限や動作時痛が生じていたことを臨床で感じていたと思います。
OAのkinematicsを知ることで、臨床での症状と動作が合致したと思います。