人工膝関節置換術の再置換と肥満

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人工膝関節置換術(TKA)後の約10%弱は、

感染や人工関節の緩み(ルーズニング)、脱臼、骨融解等で再置換が必要となります。

 

特に、

肥満患者は再置換率が有意に高いという報告があります。

 

肥満と再置換の関係は、

徐々に明らかになりつつありますが、

肥満患者が術後どれくらいの期間で再置換となるかは不明でした。

 

今回の報告は、

高BMI症例のTKA後の再置換の時期について調査しました。

 

 

 

 

TKA後に再置換をした666名を対象とし、

BMIと再置換の理由、TKA後から再置換になるまでの期間を調査しました。

 

 

 

結果です。

 

 

 

5年における再置換率は、

正常BMI群(<25kg/m2)が16%、

太りぎみの群(BMI:25-30kg/m2)が21%、

肥満グレードI群(BMI:30-35kg/m2)が11%、

肥満グレードII群(BMI:35-40kg/m2)が17%、

太り過ぎ群(>40kg/m2) が17%でした。

 

TKA後に再置換となるまでの期間は、

正常BMI群(BMI<25 kg/m2)と高BMI群(BMI>25 kg/m2)では有意に異なり、

高BMI群は正常BMI群よりTKA後に再置換を受けるまでの期間が短い結果となりました。

 

 

高BMI群と正常BMI群における再置換の理由を比較すると、

両群ともに再置換の理由(感染、ルーズニング、不安定性、TKA後の膝の硬さ)において有意差を認めませんでした。

 

しかし、

再置換の時期別にみると

1-5年以内の再置換においては、

正常BMI群と比較すると高BMI群では「感染」がもっとも多い理由で再置換が行われていました(p<0.003)。

 

また、

TKA後10年以上では、

高BMI群と比較すると正常BMI群では「感染」がもっとも多い理由で再置換が行われていました(p<0.002)。

 

 

 

BMIが高いことは変形性膝関節症を発症するリスクの一つになるため、

当然TKAを受けられる方の中にはBMIが高い方はいます。

 

TKA後にBMIが低い方よりもBMIが高い方の方が再置換になりやすいのであれば、

BMIの高い方のリハビリの際に、

疼痛の変化や立脚期における荷重量の変化を見逃さないことも必要です。

 

それと同時に、

再置換のリスクを減らすために、

運動習慣の習得や

BMIのリスクや運動習慣の必要性について

チーム医療として取り組んでいくことも必要だと思います。

 

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  TKA後1年においてBMIは歩行速度と歩行中の膝ROMへ影響を及ぼす?
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