人工膝関節全置換術後の膝関節の前後安定性について

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変形性膝関節症患者さんや人工膝関節全置換術の患者さんに関わる方の中であれば“高位脛骨骨切り術(HTO)”をご存知でしょうか?

高位脛骨骨切り術は、脛骨の形を変えて、変形した膝関節を矯正し、膝関節の内側にかかる負担を減らします。
骨を切除するため、下肢への荷重制限が生じるので、人工膝関節全置換術に比べると、歩行練習の開始時期が遅くなります。日常生活に復帰するまでに、2〜3か月を要します。

 

HTO

参考:図解入門 よくわかる膝関節より

 

このような手術をされた後、やはり膝関節が痛くなって、人工膝関節全置換術をされる方も少なくありません。

理学療法士のみなさんは、高位脛骨骨切り術の既往のある人工膝関節全置換術後のリハビリをどのように考えてされていますでしょうか?

 

今回は、高位脛骨骨切り術後の既往のある人工膝関節全置換術後の膝関節の前後の安定性についての話です。

高位骨切り術の既往のある症例とない症例を対象に、人工膝関節全置換術後の前後の安定性を調べるために、前十字靭帯再建術後に膝関節の前方安定性を測定する機械[KT2000]を用いて、術後と術後5年後に調べた報告があります。

 

結果は、高位骨切り術の既往のない後十字靭帯温存型人工膝関節全置換術を行った症例は、術後5年においても膝関節の前後の安定性は変化がありませんでした。つまり、術後5年は術直後の前後の安定性を維持できていました。

 

一方、高位骨切り術の既往のある症例は、膝関節の前後の不安定性が増加したということです。
著者の考察の中ではHTO等の膝関節の手術のあとには後十字靭帯を切除して、後十字靭帯切除型人工膝関節(PS)を選択したほうがよいと言われていました。

 

では、我々がリハビリをする際にどのような点について考慮した方がよいのでしょうか?
高位骨切り術等の膝関節の手術の既往がある方に対して、人工膝関節の機種の確認をし、膝関節の安定性を得ることができているかを確認する必要があります。
特に後十字靭帯が機能せず膝関節の不安定性を有しているのであれば、筋力増強を十分に行い、膝関節の安定性を向上するか、膝にサポーターを巻くか、膝の不安定性を患者さんに伝え、転倒のリスクが高いことを十分注意喚起する等の対応が必要かと思います。

 

もちろん、例外の方もいらっしゃるのですべての患者さんに対して当てはまるわけではありませんが、このようにTKA前の既往や機種等からTKA後の膝の環境を予測し、リハビリを行うことも重要だと思います。

 

参考:Mizu-Uchi H et al. Anteroposterior stability in posterior cruciate ligament-retaining total knee arthroplasty. J Arthroplasty. 2006.

合わせて読んでおきたい記事:  人工膝関節全置換術後の筋力増強運動の運動速度の違い
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