人工膝関節置換術後の遠心性収縮トレーニングの効果は?

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こんにちは、TKA Labです。

 

 

ブログの更新が滞っており、
大変申し訳ございません。

 

TKA Lab中級セミナーにあったように、
大腿四頭筋は術前から筋力低下が認められ、
術後も手術の影響も含め筋力低下が長期間認められます。
人工膝関節置換術後の身体機能と関連のある大腿四頭筋筋力の改善は大きな課題です。

大腿四頭筋の筋力低下をAMI(関節因性筋抑制)と捉え、
クライオセラピーを行うのか、
または他の効果的な方法を模索するのか、
様々なリハビリの戦略を練る必要があります。

一般的に、
人工膝関節置換術後のリハビリで行われる大腿四頭筋の筋力増強運動の多くは、
等尺性収縮にて筋力増強運動が行われ、
術後12ヶ月後の大腿四頭筋力や
Timed Up and Go Test(TUG)、
Timed Stair-Climbing Test(SCT)、
6分間歩行テスト(6MWT)、
WOMAC (Western Ontario McMaster Universities Osteoarthritis Index)が
改善したと報告されています。

一方、フレイルをきたしている高齢者には遠心性収縮が効果的という報告もあります。

 

今回は、
大腿四頭筋の筋力増強運動の方法として、
遠心性収縮+求心性収縮を含めたリハビリと
求心性収縮のみのリハビリの効果について報告します。

 

今回は、
対象を
・遠心性+求心性トレーニング群(ECC群)
・求心性トレーニング群(CON群)
の二群に分けています。

 

ECC群はリカンベント型の遠心性トレーニングマシーンを用いて行います(術側,非術側両方とも)。
最初は、極々軽度の運動負荷で5分実施し、
3-5日軽度の運動負荷に耐えることができたら、
適度な負荷で10分実施しました。
2週間かけて徐々に運動負荷を増やし、
最終的に遠心性収縮のトレーニングを30分実施します。

 

CON群は、
ECC群のリカンベント型のトレーニングマシーンの代わりに、
自転車エルゴメーターを同時間実施しました。

 

求心性のトレーニングは、ECC群・CON群両群ともに30分行いました。

 

全てのリハプログラムは、5回/週、2週間にわたってPTの指導のもと行なわれました。

 

 

評価は、
大腿四頭筋の等尺性収縮のテスト、
身体機能のテストは、6MWT、TUG、SCT、
歩行は、歩行速度、ストライド、立脚・遊脚期の割合、
WOMACです。

 

 

では、結果です。

 

 

ECCとCONの結果を比較すると、
CON群に比べて、
ECC群の方が有意に大腿四頭筋のpeak torqueの術前後差が小さいとう結果となりました。
その他はECCとCONを比較しても有意差が認められませんでした。

 

ECC群の方が筋力や階段昇降能力に差が出るかなと思いましたが、
意外な結果となりました。

 

 

ECC群の方が術前後のpeak torque差が小さかっということは、
つまり、
CON群よりもECC群の方が術後の大腿四頭筋の筋力低下を抑制(回復)できたと考えられます。

また、6MWT、TUG、SCT、歩行能力に関してECC群とCON群で有意さを認めなかったことは、
TKA後の身体機能の改善に必要な大腿四頭筋力を得るには、
遠心性・求心性どちらの筋力増強運動でも可能だと考えられます。

 

 

まとめ

人工膝関節置換術を受けられる方の中には、
activityが高く早期に筋力の改善が必要な人、
生活環境が整っているため筋力の改善が急務ではない方など様々な方がいます。

各症例の状態やgoalに合わせた、
筋力増強運動の方法を検討する必要性を感じさせる文献でした。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  人工膝関節全置換術後の筋力増強運動の運動速度の違い
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