変形性膝関節症の軟骨量

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人工膝関節置換術(TKA)適応の変形性膝関節症の膝は軟骨が変性・減少しており、疼痛や関節可動域制限の要因となります。

では、この変形性膝関節症の軟骨は実際どの部分が減少するのでしょうか。

 

そこで、今回は変形性膝関節症の軟骨がどの程度、どの部分が減少するかを見ていこうと思います。

まず、変形性膝関節症症例の大腿骨の軟骨の減少部分ですが、大腿骨内顆の中央を中心に減少します。また、大腿骨顆の後方は軟骨の厚みが減少しますが、あまり広範囲に広がりません。

傾向として、軟骨の減少が見られる部分は、膝関節伸展時に負荷がかかる部分です。

スライド1一方、脛骨では半月板によって覆われていない部分が多く減少しますが、半月板に覆われている部分でもかなり薄くなる症例もあります。

また、多くの場合は脛骨内側顆の中央に減少が認められますが、脛骨内側顆の前方、もしくは後方も減少する症例もあります。

スライド2

以上のように、やはり大腿骨及び脛骨において内側及び、伸展時に荷重がかかる部分に影響が出るようです。

 

 

このような軟骨の減少の話を聞くと、変形性膝関節症症例の中で荷重時痛があるが、屈曲角度が保たれている症例の場合の軟骨は、大腿骨・脛骨の軟骨は伸展時に接触する部分だけ減少している可能性があり、屈曲時のroll backの際には、大腿骨と脛骨が接触する部分の軟骨が比較的保たれていると考えられます。そのため、屈曲可動域が比較的保たれることや屈曲時の疼痛が生じないことが考えられます。

 

 

また、伸展時に荷重がかかるところの軟骨が主に減少していくことから、クッション性を求めることや疼痛を回避するために、できる限り軟骨のある部分で大腿骨と脛骨を接触させようとするために膝関節が自然と屈曲位となり、屈曲拘縮の一要因になると考えられます。

 

 

 

上記のように、屈曲角度が保たれている場合、TKA後の屈曲角度については心配いらないのですが、屈曲拘縮がある場合は、術後屈曲拘縮が生じる可能性があるため、術前から膝関節伸展可動域を維持する必要があります。ただ、軟骨が減少し、疼痛が生じる場合は、可動域運動を行ってもなかなか完全伸展を維持することが難しいと思います。

そのため、TKA前リハを行う場合には、関節可動域運動だけでなく、少しでも減少した軟骨へ負担がかからないように、下肢のアライメントを整え荷重線を膝の中心に移動させるようにインソール等を考慮していく必要があると思います。

 

 

 

まとめ

  1. 軟骨の変性は伸展時に荷重がかかるところを中心に生じる
  2. 軟骨の変性が膝関節可動域制限の一要因となりうる
  3. 術前に関節可動域運動+下肢アライメントへのアプローチを考慮する必要がある

 

 

今回は、TKA適応症例の軟骨量についてお伝えしました。変形性膝関節症の軟骨がすり減ることは、教科書にて習いますが、実際どの部分が減少するか知る機会が少ないと思います。

ぜひ、軟骨の減少具合を考慮し、術前および変形性膝関節症へアプローチしましょう。

 

合わせて読んでおきたい記事:  【中止】エビデンスから考える変形性膝関節症の理学療法(疼痛と筋力増強編)
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