- 2019-7-15
- 筋力
人工膝関節置換術(TKA)後の身体機能の早期回復は、
死亡率の低下、
入院期間の短縮、
術後合併症の抑制、
コストの削減につながります。
術後の身体機能の回復を促進する一つの方法として、
フィードバックトレーニングがあり、
リハビリに取り入れられています。
しかし、
TKA後のリハビリにおいて
用いられることは多くはありません。
TKA後のリハビリに
フィードバックトレーニングが用いられない理由として、
準備や記録に手間がかかることが挙げられます。
今回は、
準備や記録に手間のかからない装置、
「Knietrainer」が開発され、
この装置の効果と検証のお話です。
(ちなみに利益相反はまったくありません^^)
47名を対象に術後当日から介入しました。
リハプログラムは、
ROM-ex、
歩行訓練、
杖歩行、
筋力増強運動、
階段昇降訓練、
リンパマッサージ、
3回/日のアイシング
です。
2群にわけ、
トレーニング群は、
大腿四頭筋のセッティングを追加しました。
その際に、
膝窩に今回開発された圧力を確認できる装置を入れ、
さらに、
セッティング時の膝窩の圧力を視覚的に確認できるように、
専用のアプリを用いタブレット上にて表示させます。
(製品を見たい方こちらhttps://genusport.de)
セッティングの方法は、
5分間の運動を3-5回/日
この5分の間に、
・5秒間で最大圧を測定
・100secで最大圧-脱力の繰り返しを学ぶ
以上を行いました。
このフィードバック療法を行った群と、
行わなかった群を比較すると、
フィードバック療法を行った群は
【疼痛】
・術後5,6日における安静時痛が有意に減少
・動作時痛は術後1日目から4日目まで有意に減少
【筋力】
・大腿四頭筋力が有意に改善
【時間効率】
・短いリハビリの時間でも安静時痛、動作時痛、Timed up and go test(TUG)、最大筋力が改善
【各種評価】
・KOOS_ADL、KOOS_SPORTS、KSS_Functionにおいて有意な改善
以上のような結果となりました。
荷重や筋収縮を視覚的に確認できることは、
患者さんの運動への理解が高まります。
さらに、
今回の装置を用いたもう一つのメリットは、
アプリを用いて「大腿四頭筋の収縮-弛緩」
を様々な強さで頻回に行なったことも
効果的であった要因の一つと考えられます。
TKA後のリハビリを行なっていると
大腿四頭筋の収縮のコントロールが困難な症例も存在します。
このような症例は、
常に筋収縮が生じています。
常時大腿四頭筋が収縮していることは
ROMや疼痛の改善に支障が起きる症例も少なくありません。
また、歩行ではStiff Knee Gaitに繋がります。
このような
大腿四頭筋の収縮のコントロールが困難な症例には
収縮-弛緩を繰り返すこと(特に弛緩)は非常に有効です。
今回の結果においても、
安静時や動作時における大腿四頭筋の収縮がコントロールすることが改善できたことで、
疼痛の軽減や各種の評価の改善につながったと考えられます。
学校の授業で習ったフィードバック療法ですが、
リハビリに取り入れる機会って少ない気がします。
(部分荷重の際の体重計が一番頻回に用いているような。。。)
ぜひ、
この機会に取り入れてみてはいかがでしょうか。
本日は以上です。