変形性膝関節症(膝OA)は、
身体的にも経済的にも大きな負担をしいられます。
そのため、
変形性膝関節症にを患うリスクを世間に伝え、
注意を促す必要があります。
しかし、
世間にリスクを伝達、周知させることは、
簡単ではありません。
世間へリスクを伝達するために広く使用されている方法の一つとして、
「生涯リスク」というものがあります。
生涯リスクとは、
生涯にわたってその疾患を発症する確率のことです。
この生涯リスクは、
心疾患や高血圧、糖尿病等について報告されています。
そこで、
今回は、
膝OAの生涯リスクについてのお話です。
一体どんな原因が膝OAの発症に関与し、
どのくらいの割合で発症するのでしょうか。
対象のレントゲン、および 性別、人種、教育、収入、膝の負傷歴、18歳時の体重、膝の症状の有無等、参加者の参加者の社会人口統計学的、臨床特徴をアンケートしました。
アンケートは2回実施しました。
生涯リスクの推定にはロジスティック回帰分析を用いました。
85歳までに膝OAを発症する確率を「生涯リスク」としました。
1回目のアンケートを受けた際の
対象の平均年齢は61歳でした。
1回目のアンケートと2回目のアンケートの期間は平均で6年あいていました。
例えば、
(61歳の時に1回目のアンケート、67歳の時に2回目のアンケートを実施)
では、
膝OAの生涯リスクはどのくらいになったかというと、
85歳までに膝OAを発症する確率は44.7%でした。
膝OAを発症する因子として、
性別、人種、教育は関係がありませんでした。
一方、
肥満は有意に生涯リスクの要因となりました(やっぱり)。
詳細は、
肥満(BMI 30以上)の発症率は60.5%、
やや肥満(BMI 25-30)の発症率は46.9%
正常(BMI 25以下)の発症率は30.2%でした。
また、
膝関節疾患の既往のある方も、
生涯リスクが高くなります。
体重の変化によるリスクは、
18歳から1回目のアンケート、2回目のアンケートの際に、
常に正常の体重(BMI:25以下)を維持している方が、
もっとも生涯リスクが低い結果となりました(29.2%)。
一方、
18歳の体重は正常、
1回目・2回目のアンケートの際にやや肥満(BMI:25-30)・肥満(BMI:30以上)の方は、最も生涯リスクが高い結果となりました(59.9%)。
いかがでしたか
膝OAの発症において、
やはり肥満は大きな原因となるようです。
また、
膝OAにならないために
BMIを維持していくことの重要性を再認識したのではないでしょうか。
ただ、
BMIをいかなる時も25以下に維持していても、
膝OAの生涯リスクは30%近いことに驚きました。
どんなに節制して体重を維持しても
10人中3人は膝OAを発症してしまうとは。。。
膝OAは加齢性変化のため、
年齢を重ねる限りは発症を避けられません。
生涯リスクを減らしていく、
発症を遅らせる、
進行を遅らせるために、
我々理学療法士ができることはたくさんあります。
というより、
予防医学として、
積極的に関わっていく必要があります。
科学的に効果のある
運動療法、生活指導等の情報を収集し、
わかりやすく患者さんに伝えていきましょう。
本日は以上です。