最近、
10〜20年の間に消える仕事が話題になっています。
今のところ理学療法士は「消えない仕事」に入っているようですが
消えな理由の一つとして「AI」に置き換えれないということですが、
医療コストと術後の結果からみるとそうではないようです。
今回は、人工膝関節単顆置換術(UKA)後の理学療法とホームエクササイズについてのお話しです。
UKAは、
人工膝関節全置換術(TKA)と比べて
入院期間が短く、死亡率が低く、ROMがよく、骨きりが少なく、
また歩行時のkinematicsがよく、回復が早いと言われています。
UKAの外来リハビリは、
UKA後の機能改善を目的にTKAとほぼ同様なプロトコルが用いられます。
しかし、
このUKA後のリハビリが他の整形外科後のリハビリ同様に、
必要性が疑問視されています。
なぜなら、
論文において、
人工股関節全置換術(THA)、
人工肩関節全置換術(TSA)、
前十字靭帯(ACL)再建術、
半月板・腱板修復の術後の外来リハの限界を述べているものもあるからです。
また、
コスト面から見ると、
近年TKA後のリハビリ費用が大きく増加しています。
コストを削減するために、
テレビ電話を用いたリハビリや自主トレを導入し、
その結果、膝関節の機能において有意差を認められなかったという報告も散見されます。
そこで、
UKA後にリハビリが必要かどうか判断するために、
外来リハビリとホームエクササイズのみを比較しました。
対象を外来リハ群(外来群)とホームエクササイズ群(ホーム群)の2群にわけました。
両群ともに術後は当日から膝のmobilizationを始めました。
外来群は、
3回/週で6週間行いました。
内容は主に筋トレと歩行練習です。
ホーム群リハビリの方法は、
Webにアクセスしその中の動画を見て運動をする、
もしくは退院時にリハプログラムの書面をもらっているためそれを参考にリハビリをします。
ホームエクササイズに必要な物品は全て貸し出します。
毎日30-45分、段階的に負荷が強くなっていく運動を、6週継続します。
測定項目は、
術前と術後6週にROM、
Knee Society Score(KSS)、
Knee injury and Osteoarthritis Outcome(KOOS) jr、
Lower Extremity Functional Scale(LEFS)
Veterans Rands-12 Score
を測定しました。
結果です。
最終的にフォローできたのは、
外来群は25例、
ホーム群は22例でした。
術後6週における、
ROMやKSS、KOOS jr等のスコアは有意差を認めませんでした。
過去の報告では、
PTとの1対1のリハビリとテレビ電話や集団リハと比較しても
術後4週や1年において有意差を認めず、
PTの介入の有無関係なしに術後結果は良好でした。
PTが介入せずに、
ホームエクササイズを行うメリットは、
1.コストの削減
2.外来リハビリに行かなくていい(移動時間の節約)
3.復職がスムーズ
の以上3点が挙げられます。
特に1.のコストは、
文頭にも書きましたが、国および個人においても大きくなっているため、
コスト削減には大きな影響を及ぼします。
以上のように、
ホームエクササイズのメリットばかりが目立ちますが、
一方で、
一部の症例ではPTの監視やPTの介入が必要なことも事実ではあります。
術後結果の乏しい症例、
ホームエクササイズに否定的な症例等に関しては、
やはりPTが介入し術後の回復曲線に乗せていく必要があると思います。
PTが介入しなければ良くならない症例にきちんと対応できるように、
基礎的な内容の知識や
良くならない原因の知識等を増やし
知識武装しておきましょう。
本日は以上です。