術後の下肢の腫脹と筋力・歩行能力との関係

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人工膝関節置換術(TKA)後には、

大腿四頭筋力の低下によって、

移動能力を含めた身体機能が低下します。

そのため、

TKA後のリハビリの目標の一つとして、

大腿四頭筋を改善させ身体機能を改善させることがあげられます。

 

この大腿四頭筋の改善に影響を及ぼす因子の一つとして下肢の腫脹があります。

 

腫脹はTKA後の膝関節全体に生じ、

腫脹によって関節原性筋抑制(AMI)と呼ばれる過程をへて、

筋収縮が抑制されると考えられています。

 

では、

TKA後の経過日数における

腫脹と大腿四頭筋・歩行能力との関係性はどのようになっているのでしょうか。

 

今回は、TKA後の腫脹と大腿四頭筋力・歩行能力との関係のお話です。

 

 

 

 

49例を対象としました。

 

膝関節の腫脹は生体電気インピーダンス法にて測定しました。

腫脹は最大腫脹と累積腫脹(腫脹の大きさと期間から求めた積分値)を算出しました。

 

測定時期は術後2週と6週です。

 

大腿四頭筋は最大等尺性収縮を測定しました。

その他にTUG(timed up and go test)も測定しました。

こちらも同様に2週,6週に測定しました。

 

 

  • 年齢・性別・術前の大腿四頭筋力に最大腫脹または累積腫脹を加え、最大腫脹または累積腫脹と術後の大腿四頭筋力との関係
  • 年齢・性別・術前のTUGに最大腫脹とまたは累積腫脹加え、最大腫脹または累積腫脹と術後の大腿四頭筋力との関係

以上1),2)を統計を用いて両者の関係性を調べました。

 

 

 

 

結果です。

 

年齢や性別、術前の大腿四頭筋を含め、

術後の大腿四頭筋力とTUGと腫脹との関係性を見てみると、

大腿四頭筋と腫脹の関係は、

術後2週間では大腿四頭筋と腫脹の関係性は認められませんでした。

一方、

術後6週間では大腿四頭筋力と最大腫脹は有意な関係性が認められ、

術後の腫脹が術後6週間の大腿四頭筋力に影響をおよぼす割合は、

4%でした。(有意な関係性は認められましたが少ないです。)

 

TUGに関しては、

術後2,6週間におけるTUGの速度に対してが、

最大腫脹が有意に大きく関与しするという結果となりました。

どれくらい大きく関与するかというと、

最大腫脹は、

術後2週のTUG速度に対して術前のTUG速度より9倍の影響を及ぼし、

術後6週のTUG速度に対して術前のTUG速度と同等の影響を及ぼす結果となりました。

 

 

 

いかがでしたか。

 

 

 

TKA後の腫脹のピークは、

術後6-10日に生じると過去に文献で報告されています。

この腫脹のピーク時にいかに最大腫脹を軽減させるかが、

術後2,6週のTUG速度、術後6週の大腿四頭筋力の改善のポイントとなります。

 

特に退院先が自宅生活の方は、

移動能力の獲得が必須です。

この期間に

筋力増強運動やROM運動だけでなく、

積極的に腫脹に関わることで、

歩行速度の増加や筋力が改善し、

自宅生活における不自由さも軽減できるのではないでしょうか。

 

 

今後、

筋力増強運動やROM運動だけでなく、

積極的に腫脹に関わるリハビリプログラムを導入することは必要でしょう。

 

 

本日は以上です。

合わせて読んでおきたい記事:  理学療法士は必要!?~変形性膝関節症患者のトレーニングの効果~
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