TKA後の疼痛管理は、
「入院期間」、「可動域」、「オピオイド使用量」、「手術費用」、「満足度」、「QOL」に影響を及ぼすと言われています。
そのため、
術後の疼痛管理は大きな課題の一つです。
疼痛管理に用いられる薬剤の一つオピオイドは、
疼痛減少に効果的ですが、、
オピオイドへの依存や過剰摂取が問題となっています。
そこで、
術後の疼痛管理をしながら、
オピオイド使用量を減らす目的に、
近年、内転筋管ブロック(ACB)が用いられています。
ACBは、
内転筋管に局所麻酔薬を注入することで、
伏在神経と内側広筋への神経の両方がブロックされ、
TKA後の歩行とリハビリテーションのための大腿四頭筋の強度を維持しながら、
適切な鎮痛効果があると言われいています。
ACBを用いた症例(ACB群)とACBを用いなかった症例(con群)を比較すると、
ACB群は、
術後のオピオイド使用量が、
術後24時間において16.94%減少したと言われています。
また、
入院期間のオピオイドの使用量もACB群の方が15.99%減少したと言われています。
(ちなみに入院期間はACB群が1.99日 、con群は2.14日です。短かっっっ!!!)
また、
術後24時間における
「起き上がり」、「立ち上がり」において、
ACB群の方が自立度が高く
ベッドから椅子へ以上する際の介助量は
ACB群の方が少なかったと言われています。
このように
ACBの導入は、
TKA後の患者の機能に影響を与えることなく、
入院時のオピオイド摂取量を減少させることができます。
オピオイド/ACBの使用の可否に関しては、
理学療法士は手を出せませんが、
術後の鎮痛薬に関する処方を確認し、
それぞれに対応をすることは可能です。
例えば、
ACBを用いず、
オピオイドを使用している場合には、
長期使用とならないために、
積極的に物理療法の導入等を検討していく必要があります。
また、
術後ACBを導入していた場合には、
積極的に離床、歩行練習を導入し、
下肢機能の改善を行くことができます。
また、
オピオイドは悪心、嘔吐、便秘等の副作用があります。
副作用を抑えるための薬の処方もされていますが、
リハビリ開始時に副作用の有無を確認し、
副作用がある場合には、
体調に合わせてリハビリを進めていきましょう。
本日は以上です。
※ACB、術後の疼痛管理にについてはTKA e-ラーニングについてちょっと詳しく説明しています。