おはようございます。
今回もTKA Labサロン活動の一つ「世界のTKA前後のリハビリを知ろう!」からお送りしています。
今回の話は、
タイトルのように「TKA前の大腿四頭筋筋力の低下は、TKA後の異常な運動パターンを予測できるのか。。」です。
では、さっそく。
人工膝関節全置換術(TKA)後の症例は、
術後の歩行パターンにおいて四肢の非対称性や、
立脚期の短縮、
術側の膝関節屈曲等の異常な運動パターンを認めると言われています。
このような異常な運動パターンは身体機能の低下と関係しており、
歩行速度の低下や椅子からの立ち上がり、
階段昇降能力でより顕著に認められます。
このような異常な運動パターンを術前から予測できることは、
術後リハビリのゴール設定や術後のリハ戦略において有用となります。
そこで、今回は、
TKA前の大腿四頭筋力の低下は、
TKA後の異常歩行を予測できるのか。。」と題し、
47人を対象とし、
術後の異常歩行に対して術前の身体機能がどのような関係性を示すか調査した報告です。
TKAを行った47人を対象としました。
TKAのタイプは4つありその内訳は、
posterior cruciate-retaining(CR)16名、
anterior-stabilized(AS)15名、
posterior-cruciate substituting(PS)12名、
bicruciate-retaining(BCR)4名です。
術前評価として、
疼痛の評価はNPRS(Numeric pain rating scale(11点で疼痛を評価)、
身体活動の評価はUniversity of California at Los Angeles (UCLA) activity rating scaleを用いました。
身体機能は、術側・非術側の等尺性膝伸展筋力を測定し、最大トルクを算出しました。
動作解析は10度の傾斜面を歩行している動作解析を行いました。
なぜ、
0度の傾斜面を用いるかというと、
単なる歩行では異常歩行が顕著にあらわれにくく、
運動難易度を上げることで、異常歩行を引き出すために、傾斜面を用いました。
動作分析と力学的データから、
術側と非術側との非対称性について指数スコアを算出し、
この値を異常歩行と定義しました。
以上の評価を術後6ヶ月に行い、
予測因子と術後の異常歩行の関係は、線形回帰モデルを用いました。
結果は、
術後の術側と非術側との非対称性の指数スコアに影響を及ぼす唯一の尺度として、術前の大腿四頭筋力が当てはまりました。
その他の身体機能や段差昇降、TKAの機種は術後の異常歩行における予測因子となりませんでした。
では、このような異常歩行に対して、
著者はどのように考えていたかというと、
1)術前に大腿四頭筋力の計測をすること
2)対象的な歩行パターンのリハプログラムを導入
と記されていました。
1)に関しては、術前から大腿四頭筋力を測定することで、
術後の異常歩行を予測し、
術前から積極的に大腿四頭筋力のトレーニングを行なっていく必要があります。
2)に関しては、バイオフィードバック等を用い対称性のトレーニングを行い、
異常歩行を改善させる必要があると述べていました。
実際、対称性のトレーニングは歩様の改善に効果的であると報告されているようです。
TKA前後における大腿四頭筋の筋力低下は、周知の事実であり、
いかにTKA前後に大腿四頭筋力を改善するかがリハビリの目標となります。
ただ、
大腿四頭筋力の低下が
廃用性によるものなのか、
関節原性によるものなのかを考慮し、
大腿四頭筋力の改善のプログラムに対してアイディアを出していく必要があります。
本日は、以上です。