- 2019-2-28
- 歩行
おはようございます。
かなり久しぶりの更新となり申し訳ございません。
では、さっそく。
TKAを受けた方の約半数がTKA以外に人工関節の手術を受け、
その中の約9割が反対側の膝にTKAを受けています。
また、
TKAを行なった反対側の膝に軽度のOAがある方は、
やはり将来的には反対側にTKAを行うリスクが高いと報告されています。
反対側もTKAが必要となる原因は様々ですが、
TKA後の歩様も関係していると言われています。
生体力学的に、
内転モーメントが増加すると変形性膝関節症の発症や進行に影響を及ぼすことは知られています。
が、
変形性膝関節症の方によく見られる
膝関節を固めて歩くこと(stiff knee gait)も変形性膝関節症の進行に影響を及ぼすと言われています。
このように膝を固めて歩くこと(stiff knee gait)は、
関節内のストレスを増加させ、
関節の動きを減少させ、
関節内の一点に負荷を集中させるため、
変形性膝関節症の進行に影響します。
でも、
膝を固めて歩く(stiff knee gait)ことが変形性膝関節症の発症との関係は、
まだわかっていません。
今回は、
TKA後によくみられる「膝を固めた歩行(stiff knee gait)」をしていると、
反対側の膝もゆくゆくはTKAをすることになるのか。。。?というお話です。
対象は、157名とし、
平地歩行を三次元動作解析装置にて解析しました。
測定時期は最初の片側TKA後の6-24ヶ月とし、
測定項目は、
heel contactの膝屈曲角度、
歩行時最大膝関節屈曲、伸展、
最大床反力
としました。
得られたデータから
・Knee flexion excursion:歩行周期20%の時の膝屈曲角度とHeel contactの時の膝屈曲角度の差
・Knee extension excursion:歩行周期20%の時の膝屈曲角度とmidstandeの時の膝屈曲角度の差
を算出しました。
反対側もTKAをした症例を「Ope群」、反対側をTKAしなかった症例を「非Ope群」とし、両群を比較しました。
結果は、
全対象のうちの23.4%が反対側にTKAを行い、
反対側にTKAをするまでの期間は平均3.5年でした。
Ope群と非Ope群と比較すると
歩行時の術側(1回目のTKA)のKnee flexion excursionが1.6度、
knee extension excursionは1.4度少ない結果となりました。
Ope群の歩行中のKnee flexion excursionは、
反対側(1回目のTKAの反対側)と比較すると2.1度少ない結果となりました。
歩行動作撮影時の術側(1回目のTKA)のKnee flexion excursionが増加するにつれて将来反対側をTKAするリスクは、
10.2%減少するという結果となりました。
歩行動作撮影時の術側(1回目のTKA)と反対側のKnee flexion excursionが増加するにつれて将来反対側をTKAするリスクは、
9.1%減少するという結果となりました。
いかがでしたか?
なぜ、
TKA後の膝を固めた歩行が反対側のOAの進行や将来的にTKAに移行しやすいかというと、
まだはっきりとはわかっていません。
過去の報告では、
衝撃吸収や前方への推進力を生み出す際に術側の膝関節への負荷を減少させることが目的ではないかと言われています。
また、
膝を固めた歩行を行うことで、
非術側への依存が増加するとも言われています。
今回の結果から、
TKA後には反対側の膝関節の負荷が増えるとともに、
術側の膝を固めて歩くこと(stiff knee gait)が、
OAを発症する可能性が高いことがわかりました。
TKA後の歩行練習の際に、
動作指導として、
口頭にて遊脚期に膝を曲げて歩くように指示するのではなく、
なぜ曲げることができないのか、
どうしたら、曲げることができる環境を生み出せるのかを
個々の症例に合わせて検討する必要があります。
曲げたいけど曲げられない。。。。
理学療法士の腕の見せ所だと思います。
本日は以上です。
今回の内容は、
TKA Labサロンの活動の一つ「英語論文に慣れよう、読もう!」プロジェクトにおいて、
サロンメンバーにも同じ論文を読んでいただき、
このブログで論文の内容を確認していただいています。
私も英文を読んでみたい!という方がいらっしゃいましたら、
是非サロンに参加して一緒に読んでいきましょう^^
ちなみに
いきなり一つの英語論文を読むのではなく、
複数人で分担して一つの英文を読みますので、
英語に慣れていない方でも安心ですよ^^
来月の「英語論文に慣れよう、読もう!」プロジェクトの内容は、
「TKA前の大腿四頭筋力の低下は、TKA後の異常な運動パターンを予測できるのか。。」
です。