TKA後の膝の可動域に対する脛骨後方傾斜の影響とは

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人工膝関節全置換術(TKA)後に、十分な膝の可動域を得ることは、TKA後の大きな治療目標のひとつです。

特に、正座や胡坐、床上生活の多い日本人にとって、膝関節の屈曲可動域を得ることは、術後の患者満足度に繋がっていきます。

 

 

そこで今回は、後十字靭帯温存型TKA(CR)後の膝の屈曲可動域に対して、脛骨後方傾斜角度がどのような影響を及ぼすかについてです。

 

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前回、正常膝の脛骨の後方傾斜角度は、膝関節の屈曲角度に少なからず影響を及ぼす。というお話でしたが、

では、CRではどうなのでしょうか。

 

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CRについての報告は、

CR後の後方傾斜角度が0°と7°では膝関節屈曲角度が平均約105°と平均約120°となり、後方傾斜が大きい方が膝の屈曲角度が大きく異なります。

また、膝関節最終屈曲位における大腿骨と脛骨のインピンジメントは、内顆が約60%、外顆が約30%、両方が10%となるそうです。

 

この結果から、CRにおいては確実に後方傾斜が大きい方が膝の屈曲可動域が大きくなります。

また、膝のmedial pivotの影響からか、内側の方がインピンジメントし易くなります。

 

 

 

では、この結果を踏まえCR後のリハビリ戦略としてどのように考えたらよいでしょうか。
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CR後のリハビリ戦略の一つとして、

術後屈曲可動域の獲得に難渋する症例では、

術後可動域に対して影響をおよぼす因子として最も大きいものは、術前の可動域であるということは周知の事実ですが、TKA後の後方傾斜角度が制限因子の一つとなる可能性もあるため、術後レントゲン画像で後方傾斜を確認しておいてもいいと思います。

逆に、術前可動域制限が大きく術後可動域をより多く獲得するために、過度の後方傾斜をつけた場合には、過度の後方傾斜が摩耗の原因ともなるため、退院後の日常生活における指導の必要を検討することも必要でしょう。

 

 

次に、インピンジに関しては、屈曲時における膝窩部の痛みを訴えるられるのであれば、上記の確率で内側及び外側がインピンジしている可能性もありますので、膝窩の痛みを訴えられる症例の場合には、インピンジせず痛みを生じない治療を検討する必要があります。

また、深屈曲時に内側がインピンジするのであれば、medial pivotとroll backが生じておらず、CR後にPCLが機能していない可能性が考えられ、これらも可動域制限の一要因となります。

 

 

 

まとめ

・CR後の脛骨後方傾斜が大きい方が膝関節の屈曲角度は大きい

・CR後に膝の屈曲可動域獲得に難渋する場合には、CR後の後方傾斜のチェックを

・CR後に内側のインピンジが起きる症例は、medial pivot、roll backが不十分の可能性がある

 

 

今回は、CR後の膝関節の屈曲可動域へ脛骨後方傾斜が及ぼす影響についてでした。

屈曲可動域の獲得には術前の軟部組織の状態が大きな影響を及ぼしますが、脛骨の後方傾斜も術後の可動域へ影響を及ぼします。

 

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  後十字靭帯温存型人工膝関節(CR)の後十字靭帯(PCL)はいつ機能するのか?
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