今日の高齢者は、定年後の余暇活動へ参加への意欲が高まっているため、
身体機能のへの関心も高い傾向にあります。
当然、TKA後の方も余暇活動への参加を期待していますが、
過去の報告ではわずか半分くらいの方しか余暇活動に復帰していません。
データで見てみると、
TKA後の満足度は75-97%に対して、
余暇活動に対する満足度は66%と言われています。
別のデータでは、
余暇活動への復帰に対する不満足度は21%であり、
これはTKA後に不満を感じる方のの2倍にあたります。
余暇活動に不満を感じる方の決定因子は、
・うつ病
・腰痛
・肉体的・精神的健康
と報告されています。
が、
TKAには満足しているが、
TKA後の余暇活動について不満を抱いている方がどのような傾向を示しているかは不明です。
今回は、
術後1年のTKA症例に対して、
TKAには満足しているにもかかわらず、
余暇活動へ不満を抱く方の要因を調査した内容です。
3324人を対象とし、
術後1年後にアンケート調査をしました。
- TKAに対して満足しているか
- 余暇活動に対して満足しているか
の2項目に対して、
非常に満足、やや満足、やや不満、非常に不満の4段階で回答を得ました。
また、
合併症およびWOMACを測定しました。
以上から、
TKAには満足しているが、
余暇活動に対して満足されていない方の要因を分析しました。
まずは、
TKA後の結果対する満足度は89.7%でした。
続いて、
TKA後の余暇活動に対する満足度は80.4%であり、
TKA後約20%が余暇活動に対して満足していないという結果となりました。
余暇活動中の膝について不満を訴えた652人の分析してみると、
全体的な結果に満足していなかった方は304人(46.6%)でした。
TKA後の膝には満足しているにも関わらず、
余暇活動に対して不満を感じている方を予測する因子として、
・高齢(OR:1.03)
・BMIの増加(OR:1.05)
・高血圧症(OR:0.66)
以上が関係することがわかりました。
また、余暇活動に満足している症例のWOMACスコアは高く、
ROC曲線におけるROC曲線下面積(AUC)が0.82以上(p<0.001)であり、
余暇活動の満足度にWOMACスコアが関係していました。
TKA後の満足度の向上のために、
医師や看護師、理学療法士等が日夜努力している昨今、
やはり一定数はTKA後に満足いただけない症例が存在することを再確認しました。
さらに、
より高度な身体機能を必要とする余暇活動に対して、
満足される方が少なくなることは当然の結果かと思います。
「当然」と思うのは簡単なので、
余暇活動への満足度を向上するために何が必要かを考えていく必要があります。
TKAには満足しているが、
余暇活動に満足されていない症例の要因として
・高齢
・BMI
・高血圧
という結果が示されたことから、
・年齢的に適した余暇活動への参加の判断
・年齢に適していない余暇活動の場合、参加するためのアドバイスや環境設定の提案
・BMIの増加や高血圧に対する栄養指導や服薬指導
等を検討していく必要があります。
また、
余暇活動の満足度にWOMACスコアが関係することから、
WOMACスコアを改善させるために、
各項目別に集中的な治療プログラムを検討していくこともいいのではないでしょうか。
本日は以上です。