人工膝関節置換術後の筋力・疼痛と歩行能力の関係

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こんばんはTKA Labです。

今回はTKA LAbサロン活動の一つの

「世界のTKA後のリハを知ろう」からです。

ちなみに、

今年からみんなで一つの英文を読み始めましたが、

今月からいよいよ一人一つ、毎月英文を読むことになりました。

毎月英語に触れることで、

英文を読むスピードや論文の読解力に対して確実に力がついてきてます!

 

 

 

では、

本題に。

 

 

膝の痛みや一部の身体機能は人工膝関節置換術(TKA)後に改善します。

一方、

大腿四頭筋筋力や歩行機能等の一部のADL 能力の低下は継続することがあり、

日常生活に支障が生じると言われてます。

 

特に歩行は、

術後数年の間、跛行が見られる症例や、

術後1年間歩行速度が改善しない症例も少なくありません。

 

歩行速度と身体機能との関係は、

歩行速度と疼痛(VAS),WOMAC,KSSと相関するという報告がされていますが、

いずれも主観的な評価との相関であり、

客観的な指標と歩行速度との関係は明らかとなっていません。

 

今回は、

客観的指標としての両側大腿四頭筋のピークトルクと

主観的指標の疼痛が

TKA後1ヵ月の歩行速度および歩行持久力へどの程度影響を及ぼすかのお話です。

 

 

対象は片側TKAを行った119人です。

 

 

術後のリハプログラムは、

術後1日目から:ROMex、寒冷療法、経費的電気刺激(TENS )等

術後7日目から:積極的な筋力増強運動

術後14日目から:歩行訓練、自転車エルゴメーター、階段昇降訓練等

 

頻度は2回/日、5日/週行いました。

 

 

術後1ヶ月に下記の項目を評価しました。

・歩行分析

・膝関節伸筋および屈筋ピークトルク、非術側に対するの術側の膝関節伸展・屈曲筋力

・6分間歩行テスト(6MWT)

・Timed Up and GO test(TUG)

・階段昇降テスト(SCT)

・WOMAC:疼痛、こわばり、身体機能

・Euro Qol5(EQ-5D):mobility, self-care, usual activity, pain/discomfort

・VAS

 

 

では、

歩行速度・歩行持久力と上記の項目との関係をみてみましょう。

 

 

【歩行速度】

・非術側の伸展ピークトルク(β:0.27)

・術側の伸展ピークトルク(β:0.16)

・VAS(β:-0.15)

 

 

【歩行持久力】

・非術側の伸展ピークトルク(β:0.38)

・術側の伸展ピークトルク(β:0.15)

・VAS(β:-0.13)

 

 

 

 

いかがでしたか。

歩行速度および歩行持久力ともに非術側の伸展ピークトルクがやや影響を及ぼすかな。。。という結果となりました。

 

 

 

術後1ヶ月の時点では、

術側の膝関節周囲の筋力の回復および関節原生筋抑制の影響から

術側膝関節の筋発揮が難しいのは周知の事実です。

そのため、

歩行時の安定性および推進力は非術側の働きが重要です(当たり前ですが)。

今回の結果は妥当であり、

非術側の大切さの再確認になったと思います。

 

 

 

少し話が変わるのですが、

この論文の歩行速度と歩行持久力は、

過去の報告と比較すると

優れた成績をおさめたようです。

 

考察では、

「2週間までみっちり基礎トレをしたから。」

と記載してありました。

この論文のリハプログラムの面白いところは、

術後2週間まで歩行訓練をせず、

術後2週後から免荷装置を用い、トレッドミルのトレーニングを1週間実施したところです。

術後早期から歩行を推奨する文献もあれば、

このようなリハプログラムにて、

結果を出しているところがある施設があるということは、

とても興味深いなと思いました。

 

ただ、

今回のリハビリプログラムを持ってしても、

同年代の健常者と比較すると

歩行能力は劣っていたようです。

この辺りがTKA後のリハビリの難しいところですね。。。。

 

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  人工膝関節置換術後の遠心性収縮トレーニングの効果は?
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