人工膝関節置換術2年後の歩行能力は?

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歩行能力は、人工膝関節置換術(TKA)後に改善が期待される身体機能のうちの一つです。

 

TKA後の歩行に関する論文は、

TKA後に歩行能力が改善すると報告している論文がありますが、

一方では、

正常歩行とは異なると報告している論文もみられます。

 

 

TKA後の歩行について床反力計を用いた研究の報告では、

術後経過が良く・他の関節に疼痛のない症例は、

正常膝の歩行と同等の床反力の波形となったと報告しています。

 

 

しかし、

TKA患者の中には術後の経過が良い症例だけとは限りません。

患者満足度を調査した報告では約2〜3割の方が

術後に何らかの不満を抱えています。

このような方たちの歩行は、どのような経過を示すのでしょうか。

 

 

今回は、

合併症や膝以外の関節の疼痛が

TKA後2年後の歩行にどのような影響を及ぼしているか

調査した論文の報告です。

 

 

 

対象は111名のTKAを受けた症例としました。

(男性:34名,平均年齢65±10歳、女性:77名、年齢68±9歳)

 

 

調査項目は、

歩行速度、ケイデンス、床反力を術前と術後2年に測定しました。

また、

合併症や膝関節以外の疼痛についてのアンケートも

術前と術後2年に実施しました。

合併症はThe American Society of Anaesthesiologists Physical Status Classification System( ASAスコア)で測定しました。

 

 

 

結果です。

 

 

 

術後2年における歩行において、

歩行速度、ケイデンス、床反力のパラメーターは術前と比較すると有意に改善しました。

ただ、TKA後2年後の

非術側と術側を比較すると

非術側の立脚期中期およびtoe offの床反力が有意に大きな値となりました。

 

歩行速度、立脚期の荷重量、toe off時の荷重量に対して

年齢、性別、合併症スコア、疼痛の影響の結果は、

 

歩行速度への影響は、

年齢、性別(女性)、合併症、疼痛でした。

 

立脚期における荷重量への影響は、

性別と合併症と疼痛でした。

 

toe offへの影響は、

合併症でした。

 

 

今回の結果をふまえると、

TKA後の歩行をできるだけ、

正常膝の歩行に近づけるため、

もしくは、

できるだけTKA前の歩行より改善させるためにも

合併症や他関節の疼痛を改善させる必要があります。

 

特に、

他関節の疼痛は術前から有していることが多く、

TKA後の満足度の高い歩行獲得のために、

術前リハにおいて、

膝関節だけでなく

他関節への疼痛へアプローチすることも検討する必要があります。

 

また、

多くの合併症を有している方や

他関節の疼痛がある方には、

これらが歩行に影響を与え、

満足度の高い歩行獲得に時間を要するという情報提供をしておくことも

お互いの信頼関係を構築・維持して行くためにも重要でしょう。

 

 

本日は以上です。

 

 

合わせて読んでおきたい記事:  実生活に促した歩行テストとして8の字歩行テストはいかが?
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